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ドクターコラム





胃十二指腸潰瘍

日本の現在のヒーローといえば、ノーベル賞受賞の4人の方々とやはりプロ野球選手のイチローでしょう。その彼が出血性胃潰瘍で10日間の戦列外通告を受け待機を球団から命じられて、開幕戦には出られないと出られないということです。
ワールドベースボールクラシックでは前・中半は絶不調でしたが最後にはちゃんと存在感をアピールしてくれました。強気の彼ですが、当時の心境を心が折れそうだったと表現していました。診断のきっかけは病名から胃腸の不調と便に消化管出血の証でもあったのでしょう。まさか開幕に向けて全選手の胃ファイバースコープをするわけではないでしょう。
病名として胃十二指腸潰瘍というように同じ成因、同じ治療です。人種差というか生活環境の違いのせいか日本人は胃潰瘍が多く250万人が罹患していますが、欧米人には十二指腸潰瘍が多いといわれています。


主症状は胃潰瘍では食後に、十二指腸潰瘍では空腹時にみぞおちの痛み、胸焼け、ゲップや吐き気が起こります。
原因は潰瘍患者の90%以上がヘリコバクターピロリ菌に感染しており、殺菌除菌により再発が低下することによりこの菌が原因とする説が有力です。
成因は粘膜を痛める攻撃因子(たとえば薬剤のうち鎮静剤やホルモン剤、たばこ、消化不良、ストレスなどがあげられています)と粘膜を守る防御因子のバランスが崩れることから始まります。
イチローは常人では経験しないものすごいプレッシャーに打ち勝つ攻めのホルモンや神経が人一倍高いと思われますが、やはり個人として受けるブレッシャーよりは日本代表として受けるプレッシャーを受け損なった為でしょうか。
診断はやはり内視鏡検査がすすめられます。最近では鼻から細いファイバーで検査すると喉を通るときの苦痛が少なくて楽ですが、細い分だけファイバー数が少ないためにその精度は30%ほど落ちるともいわれています。
治療はストレスをそらす、よく噛めるように歯の不具合を治す、過度のアルコールを避ける、胃血流を落とすタバコをやめる、薬物の検討が必須です。薬物治療は胃酸の分泌を制御する薬剤があります。漫然と服用を続けないことも忘れないようにしてください。


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